夫婦で移住し、館山で4人家族に。田舎での子育てライフ

【岡村彩さんと家族】
<ご紹介するのはこんな方>
岡村彩さん(40代)
館山市在住
家族構成 4人家族(夫婦と子ども2人)
以前の居住地 東京都世田谷区
2012年、岡村さん夫妻は、ご主人の転職をきっかけに館山市へ移住しました。移住後は映像系の仕事からホテル業へ転職しましたが、家族と過ごす時間を確保するため一般企業に転職し、今の暮らしがあります。当初は賃貸物件に住んでいましたが、資産として家を購入し、その後妊娠、出産を経て、現在は小学校1年生と年長の息子2人が家族に加わりました。どのように家を探し、子育てをしながらどんな風に館山の暮らしを楽しんでいるのか、岡村さんに話をうかがいました。
移住の決め手「潮時」
岡村さん夫妻は、旅行会社でツアーガイドをしていた経験があり、世界中を飛び回っていました。世界目線で大地の広さを体験してきた彼らにとっては、都内での暮らしはより一層窮屈に感じられ、ストレスを抱えていました。そんなとき、ご主人に館山での仕事の話が浮上。館山のことは全く知らなかったけれど、ずっと都内に住むつもりはなかったので潮時だと思った岡村さん夫妻は、館山への移住を決めました。
【隙間時間にサーフィンできるのが館山の魅力】
もともとサーフィンやダイビングなど、海でのアクティビティが大好きだった岡村さん夫妻にとって、海があって空が広い館山は、とても居心地のいい場所となりました。
賃貸と持ち家
移住を決めてから、ネットで物件探しをスタート。条件は、ある程度の広さと駐車場、仕事で東京に行くこともあるので、駅まで歩ける距離。2件ほど不動産屋を巡って、ネットで見た物件を見せてもらい、その対応や雰囲気を見比べながら信頼できる会社を選び、3DKのメゾネットタイプの家を借りることにしました。
都内では1LDKの古いアパート住まいで、窓を開けて見える景色は電線と隣の家のベランダと、小さな空でした。解放感もなく、建物が密集した場所に住んでいたため、2階建てのメゾネットタイプの家はとても広く感じられました。
2年更新の賃貸物件でしたが、「賃貸で家賃を払い続けるより、資産になるように購入しよう」そう考えた岡村さんは、時折ネットで相場をチェックするようになりました。不動産屋に行って積極的に探していた訳ではありませんでしたが、「あそこの家の人が売りたがっているんだけど、岡村さんどう?」と、近所に住むお爺さんが話を持ってきたそうです。
「見に行って、ピンときました。造りが変わっていて、独特な個性があって、駅まで歩いて行ける。カフェをされていたスペースがあって、カフェをやるかは分からないけれど、何かできるよね。という面白さがありました」
【渡り廊下で二棟の建物がつながっている造り】
10年以上前のその当時で、築30年以上経った2LDKの物件でしたが、きちんとリフォームされていてきれいな状態で、2棟が渡り廊下でつながっているような物件。窓が多くて空気の循環が良く、駐車場スペースが広いのもポイントの一つです。契約の際は不動産屋さんに入ってもらい、無事岡村家の城として手に入れることができました。
【食事以外でも活躍するダイニング・キッチン】
館山暮らし
彩さんは在宅の仕事が中心で、ご主人は映像系から観光系の仕事、一般企業へと転職しました。観光系の仕事のときは、週末は当然仕事で家族と過ごす時間が少なかったそうですが、現在は完全週休二日制です。職場が自宅から近いため、自転車で通勤することもあり、お昼休みは帰宅して家でご飯を食べています。
「子どもが生まれる前は、昼休みに海に入ったり、サンセットがきれいなときに、ご飯を持って行って海辺で食べたりしていました。通勤時間がほとんどかからないのは大きいですね。都内のときは帰宅が20時とかで、外食が多かったです。今は早ければ17時半には帰宅しています」と岡村さんは言います。
【穏やかな海や真っ赤な夕日、ときには富士山も眺められる館山の海】
館山暮らしの利点を聞いてみると、直売所があることだとか。都内ではスーパーまで遠かったので買い物も大変でしたが、ここでは近所にある産直で新鮮な野菜や魚介を手に入れられ、四季折々の食材を楽しんでいます。
週末は、森を歩いたり海で子どもたちにシュノーケリングを教えたり、お弁当を持って公園にピクニックに行ったりして自然を満喫しています。
【シュノーケリングの練習をしに海へ】
「山歩きは気持ちがいいし、いつでも海で泳げる。その日の朝に、今日は海に行く?山にする?って決めてから移動できるくらい、どこにいくのも20分くらいなので、移動時間が短いのもいいです」と、岡村さん。
部屋には、つい最近さかなクンが館山市内の小学校や幼稚園にプレゼントしたという魚のぬいぐるみが2つありました。岡村さんの子どもたちも大喜びで持ち帰ってきたそうです。これは、館山市在住ならではですね。
【さかなクンからプレゼントされたぬいぐるみを持つ子どもたち】
田舎暮らしは不便?
移住して不便なことはないか質問すると、少し考えた後「特にない」と、岡村さんは答えました。田舎暮らしといえば、車が必須で車がないと何もできないというイメージがありますが、岡村さん夫妻が暮らす場所は駅まで歩いて行けるため、車がなくても行動できます。
とはいえ、実際車は所有していますが、満員電車に乗らず大好きな海を眺めながら自転車通勤できることに、最初は感動したそうです。「花火大会もすいているし、何をするにも並ばなくて、混雑がない」と岡村さん。沖ノ島で拾った貝やハーブを使って、移住後に習ったキャンドル作りをしたり、庭にウッドデッキを作ってバーベキューをしたりと、日々の暮らしを楽しんでいます。
【DIYしたウッドデッキのハンモックでくつろぐご主人】
話を聞いていると、「森の中にも家が欲しいな」と言う岡村さん。市内の住宅地に暮らす移住者から最近よく耳にするのは、「こっちで2拠点暮らしをしたい」という言葉でした。子育てや仕事上は市内の方が暮らしやすいけれど、ザ・田舎暮らし的な場所にも家が欲しくなるようです。
【窓が多くて日当たりと風通りがいい室内】
もともとカフェとして利用されていた場所を、現在は一組限定のシェアスペースとして貸し出している岡村さん。子どもたちの成長とともに、もう少し部屋が欲しいと考えることもあるそうです。一目見て気に入ったお気に入りの城を、自分たちのライフステージに合わせて変化させながら、進化させていくのでしょう。
移住を考えている人へ
「世代によって異なると思います。高齢の方は交通手段以外は何も壁がないと思う。人間関係も複雑じゃないし、自分がしたいことができる。扶養しなきゃいけない家族がいる人は、2つ3つ収入源をもつのが基本だと思う。小さい子がいる場合、コロナ禍でも影響が少なくのびのびと遊ばせられて良かったけど、中学高校になると習い事が限られてくるので、行動範囲を市外へと広げる必要がでてくると思う。館山はミニマムで存在している街なので、オンラインをうまく利用しながら最小限で満足できる人に向いていると思います」
インタビューを終えて
都内から館山へと変化しただけでなく、賃貸から持ち家へ、夫婦2人から4人家族へと、その時々の変化を楽しみながらベストを尽くしている岡村さん夫妻。今後、館山での2拠点生活が実現するのか否か、楽しみに見守りたいと思います。
※本記事は、2025年3月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています