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年齢とともに家をサイズダウン。無理のない移住のかたち

【菅原祐二さん】

<ご紹介するのはこんな方>
菅原 祐二 (68才)
南房総市在住
家族構成 単身
以前の居住地 富津市

東京生まれ東京育ちの菅原さんは、当時の居住地だった葛飾区と富津市との二拠点生活を始めた後、定年退職後富津市に移住しました。釣りが好きで、毎週末南房総に通っていたため、釣りの拠点となる家を探したのが事の始まりです。理想的な家を手に入れ、DIYを楽しみながら進化させてきた富津の家を出て、なぜ南房総市に移住したのか。今に至る経緯について、話をうかがいました。

100坪くらいの家を求めて

釣りが好きな菅原さんは、毎週末南房総へと通って釣りを楽しんでいました。釣りの休憩所になるような家はないかと、君津までは下道で帰り、道沿いにある不動産屋に片っぱしから立ち寄って、「いい物件があったら教えて」と言いながら顔を出していました。当時の条件は、釣りの帰りに1泊できるような、100坪ほどの土地と家。あるとき不動産屋から、「菅原さんが求めているイメージとは違うけど、これからチェックしに行く家があるから見に行かない?」と誘われました。行ってみると、立派な長屋門がある古民家でした。「こういう家を、少しずつDIYしている人たちもいるよ」と言われ、「それもいいな」と心惹かれます。

都内でも、自宅を自分好みにDIYしてきた経験がある菅原さん。古民家をDIYするという発想はなかったけれど、すぐに魅力を感じたそうです。

こうして手に入れた、640坪の敷地

日頃からWebサイトで物件をチェックしてた菅原さんは、1年以上掲載されていていつも目にする物件がありました。山がいくつか付いて、4000万円くらいする物件です。久しぶりにチェックしてみると、価格が大きく下がっていました。住居と山を分けて売ることにしたのが理由のようです。「山はいらない」と思っていた菅原さんはすぐ不動産屋に連絡し、見学に行きました。

【富津市の物件】

【富津市の物件】

母屋に大きくて立派な梁があり、見た瞬間「これだ!」と即決。「直すところがいっぱいあって、ここをこうして、ああして、とイメージがいっぱい湧いて、妄想しまくって、もう買うしかないって思った」と、目を輝かせながら語ります。ですが、既に先客がいたのです。

【立派な梁が見える部屋を床張りにリノベーショ】

【立派な梁が見える部屋を床張りにリノベーション】

二番手だった菅原さんですが、先客が購入を断念して順番が回ってきました。640坪の敷地には、母屋、納屋、小屋など、合計5棟建っていたそうです。母屋はおよそ65坪。すぐに住める離れに寝泊まりしながら、傾いている母屋のジャッキアップや外壁、1階の床張りなどは大工に任せ、週末は自分で2階の作業を進めて、釣りに行く暇などありませんでした。

とりあえず住めるようになると母屋へ引っ越し、外水道の配管をやり直したり、外にトイレやキッチン、釜土に薪ストーブ、ピザ窯、畑などをつくって充実させていきます。最終的には、サウナ小屋や水風呂もつくり、仲間で宴会を楽しめる“アジト”へと進化しました。

【左から、水風呂、流し台、トイレ、ピザ窯用の屋根、サウナ小屋】

【左から、水風呂、流し台、トイレ、ピザ窯用の屋根、サウナ小屋】

憧れが詰まったアジトから、現実的な家へ

2011年に東京と富津での二拠点生活をスタートさせ、2019年に仕事を辞めて本格移住。DIYや釣りを通じて多くの仲間と交流しながら、充実した田舎暮らしを送ってきた菅原さん。完成されたアジトを手放し、なぜ引っ越すことにしたのでしょうか。その問いに菅原さんは、「広すぎるから」と即答。

「55歳で二拠点を始めたときは今よりも元気があったし、憧れていた田舎暮らしだったから、モチベーションが全然違ってた。でも、だんだん歳はとってくるし、庭や敷地の手入れを考えると、もう少し小さいのを探してみて、もしあればと思って」と、当時を振り返ります。

Webサイトでチェックして、コロナ禍で上がった価格が少し落ち着いてきたころ、昔訪れた不動産屋に顔を出しました。条件は、100~150坪、平屋、住宅地ではない立地、1000万円以内。すると、「なんとなくあるけど、まだ条件が決まっていない」と言うので、すかさず「見せてよ」と強引に案内してもらいます。改修が始まったばかりで、まだどれくらい費用がかかるかわからない状況でしたが、窓から見える田園風景に心を奪われ、即決。

【窓から見える景色】

【窓から見える景色】

「田んぼを見下ろす感じで見渡せて、電線が見えない。それだけで買うと決めた」と言います。「手付金入れるから、他の人に言わないで」とお願いし、ときどきお菓子を持って不動産屋に通ったそうです。

菅原さんがこの家を見に行ったのは、2024年の2月でした。GW直前に社長から電話があり、「1000万円以下は無理」と言われたものの、その場ですぐに購入することを告げ、手付金を支払いに行きました。

【新しく手に入れた南房総の家】

【新しく手に入れた南房総の家】

ときどき敢えて家の前を通ってみて、外の様子をチェックしていましたが、改修中は内部を見ることなく購入したので、晴れた日に家の中から富士山が見えたときはびっくりしたそうです。敷地面積は100坪、家は21坪、価格も許容範囲内でした。

【家の中から富士山が見える】

【家の中から富士山が見える】

なぜその不動産屋だったのか

道路沿いにある不動産屋を全て訪れていた菅原さんが、今回再び訪れた不動産屋は一軒のみ。なぜその不動産屋を選んだのでしょうか。

「そこの社長が好きなの。この辺の通りにいっぱい不動産屋あるけど、あそこだけ売り方が違う。他は、安いのから順に並べてるような提示の仕方で、みんな同じ。あそこは、安いけど、ぼろいからDIY中級以上じゃないと買わない方がいいとか、そういう売り方をしてる。この家も、俺が買うって言ってるから価格を吊り上げてもいいのに、良心的で駆け引きがない人で気に入ってた。物件を持ってるかどうかは、また別の話だけどね」

家に居ながら海の状況をチェック。今日は釣りに行けるかな?

富津市の大きな家から、南房総市のこじんまりした家に移り住み、実際に暮らしてみて、住み心地はどうだったのでしょうか。

「最高です。買ってから周辺のことを調べたら、おどややコメリもあるし、駅もあって、富津に住んでいたときよりも利便性が良くなった。思いつきで買ったようなものだから全部後付けだけど、バッチリ」と笑顔で答えました。

朝と夕方は、富士山が見えるか家の中から必ずチェック。朝日や夕日、月の位置も以前は気にしていませんでしたが、季節によって沈む位置が動いている様子が、家に居ながらにしてよくわかるそうです。

【いつもの席から外を眺める】

【いつもの席から外を眺める】

窓辺には双眼鏡が置いてあり、ここから双眼鏡で白波が立っていないかをチェックして、釣りに行くかどうかを決めるのだとか。富津のときはDIY中心で、あまり釣りには行けませんでしたが、ここでは釣りがメイン。それでも、越してきた当初は庭に枕木を敷き、納戸に棚を付けたり物置をつくって設置したりと、DIYに励みました。現在は、工具を入れるための物置小屋をつくっています。

【物置小屋をDIY中】

【物置小屋をDIY中】

ここならではの景色を楽しみつつ、東京で飲んだ帰りは駅から歩いて帰れる距離。景色がいいので、よく散歩にも出かけているそうです。

移住を考えている人へ

都内との二拠点生活を経て移住し、自分に合った田舎暮らしを堪能している菅原さんに、移住を考えている人へメッセージをお願いしました。

「移住とか家とか、すぐ決めずに二拠点からやればいいと思う。イベントに行って土地の人と知り合って、そこにいる人と顔つなぎをしたらいい。1人でも相談できる人がいれば楽だし、無駄な回り道をせずに方向性を決められると思うから」

インタビューを終えて

家を買うという大きな買い物のときでも、「これ!」と即決して、家と暮らしを手に入れ、DIYで自分流にアレンジして人生を楽しむ姿が素敵でした。新たな拠点での進化も、楽しみにしています。

※本記事は、2025年4月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています

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