不動産売買にかかる仲介手数料とは?相場の目安や上限など知っておきたいポイントを詳しく解説します
不動産売買にかかる仲介手数料とは?相場の目安や上限など知っておきたいポイントを詳しく解説します
「家を売りたい」「家を買いたい」のどちらのケースでも、売買には“契約”という重要な手続きが必要となり、個人だけで進めるのは相当難しいものです。不動産会社に仲介を依頼してサポートしてもらう方がほとんどではないでしょうか。
売買では、物件価格のほかに、手続きにともなうさまざまな費用が必要で、そのひとつが「仲介手数料」です。仲介手数料は、実は数万円程度とは少額ではありません。
「何のための費用か・相場はいくらぐらいか」について仲介手数料についての事前情報や事前知識が全く分からないまま不動産売買を進めると、「こんなに払うもの?」と不安が大きくなってしまいます。
不動産を買う人、不動産を売る人のどちらにも関係してくる費用ですから、「仲介手数料」について売買前に知っておくことをおすすめします。
今回は、これから不動産売買をする方に向けて、仲介手数料について詳しく解説していきます。
仲介手数料とはそもそも「何のため」の費用?
仲介手数料は「不動産を売る・不動産を買う」にあたり不動産会社に仲介を頼んだケースで必要になってくる手数料のことです。
☞ 仲介手数料は、売買が成立したときの成功報酬
仲介手数料は、不動産会社と媒介契約を結び、それによって「不動産売却・不動産購入」に結び付いたときに発生する“成功報酬”です。売主・買主がスムーズに売買を成立させるように活動した不動産会社に対しての手数料と言えるでしょう。
☞ 仲介手数料はこんな業務に対する報酬
不動産売却や不動産購入には、さまざまな業務や手続きが必要です。売主や買主との契約書や、契約にあたっての重要事項説明書の作成なども不動産会社が行います。
仲介手数料は、
・ 不動産を売るために販売活動を行う
・ 不動産を買いたいときに内覧を行ってもらう
・ 売主・買主との間で価格調整の交渉をする
・ 売買が決まったら契約書、重要事項説明書を作成する
・ 契約時に重要事項を説明する(宅地建物取引士だけが行える業務)
・ 不動産売買の引き渡しをする
などの業務に対する報酬となります。
仲介手数料はどのくらいかかるもの?実際の相場やポイントについて知ろう
「仲介手数料がかかる」と分かったところで次に気になるのは相場の金額ではないでしょうか。
相場があるなら知っておきたいですよね。そこで仲介手数料の相場も含めて、知っておきたいポイントについてお伝えしていきます。
ポイント1:不動産の価格次第で仲介手数料が異なる
仲介手数料は、売買が成立した際の「物件価格」がもとになって決められる費用です。
そのため、
・ 売買価格が低いほど仲介手数料は少ない
・ 売買価格が高いほど仲介手数料は高額
となります。
ポイント2:“上限”を超えた仲介手数料を払う必要はない
仲介手数料は不動産会社から金額を提示されますが、覚えておきたいポイントが「上限を超えた金額は払わなくてもよい」という点です。
金額が分からないと「いくら払うのだろう」と不安ですが、仲介手数料は宅建業法で“上限額”が決まっています。このルールに基づいた金額でなければならないため、その上限を知っておくと安心です。
ポイント3:仲介手数料の計算式により算出しておく
仲介手数料の上限についてですが、
・ 200万円以下⇒5.5%
・ 200万円超え~400万円以下⇒4.4%
・ 400万円超え⇒3.3%
と定められています。
※参考「国土交通省」
https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf
上記のように、「200万円以下」「200~400万円以下」「400万円超え」と分けた考えとなりますが、不動産売買では一般的に「400万円を超えた取引」が多いでしょう。
そのため、400万円以上の物件については次のような速算式を使うこともできます。
「物件価格×3%+6万円」(税抜)
たとえば、1000万円の売買価格なら
「2000万円×3%+6万円=660,000円」ということになります。
また、仲介手数料は、不動産会社による事業によるものですから、課税対象となり消費税がかかります。
そのため、上記の例でいうと「消費税66,000円」がプラスされ、「726,000円」が仲介手数料の上限です。
仲介手数料は、媒介契約書に金額や支払時期が記載されることになっています。不動産会社によって「消費税込み・消費税抜き」と表記が異なるケースがあるので注意しましょう。
ポイント4:下限がない仲介手数料だが、上限を支払うケースが多い
前述したように、仲介手数料は法律で定められた上限を超えて払う必要はありません。
ただ、“上限の額”と聞くと、「高いのではないだろうか?」と思う方も多いのではないでしょうか。
一般的には、上記でお伝えしたような計算式であてはめた“上限”の金額を仲介手数料としている不動産会社が多いため、つまり、「法律で定められた上限額=仲介手数料の相場」と考えてもいいでしょう。
ポイント5:仲介手数料の値引きは無理に行わない方がいい
物件の価格によって異なりますが、結構な高額となる仲介手数料。不動産売買では他にも費用がかかることから、少しでも安くならないものかと値引き交渉をしたくなるかもしれません。
ただ、値引き交渉をすることで「販売活動が後回しにされてしまった」「売却で時間がかかって値下げを打診された」など、思わぬところでデメリットにつながる可能性も考えられます。媒介依頼を受けた不動産会社は数々の業務をこなしてくれているはずですが、「売買の優先度を下げられた…」と不信感を抱いてしまうのも残念なことですよね。気持ちの良い取引にするためにも無理な値下げ交渉には注意しましょう。
ポイント6:仲介手数料の支払いタイミング・方法は事前によく確認を
仲介手数料は原則的に“現金”を用意しておくことになります。
ただ、物件の価格にもよりますが、数十万円というまとまった金額を「現金払い」というのは負担ですよね。支払いスケジュールの流れを忘れると、直前で慌てることになるでしょう。
そこで、事前にしっかりと支払いタイミングの流れを把握しておくことが大事です。
通常のケースでは、
・ 売買契約がまとまったとき
・ 引き渡しのとき
という2回に分けて仲介手数料を支払います。
不動産会社によって詳細が異なることがあるため、「いつ払うか」「何回に分けて払うか」「金額はどのくらいずつ払うか」などを確認しておきましょう。
仲介手数料がかからないケースもある
個人間で直接不動産を買った・売ったというケースでは、仲介者がいないので仲介手数料はかかりません。
ただ、なかなかトラブルなくして個人間での取引は難しいものです。そこで、法に基づいた売買ができる不動産会社を通じていることが多いでしょう。
前述したように、不動産会社を通じて「不動産を売る・買う」という契約が成立した場合は、基本的に仲介手数料がかかります。ただし、不動産会社に売買を依頼したときでも、仲介手数料がかからないケースもあるので覚えておくようにしましょう。
ケース1:不動産売買に結び付かなかった
仲介手数料は、「不動産会社に仲介を依頼した⇒売買が成立した」ときの成功報酬ですから、何らかの理由で売買契約できなければ払う必要のないものです。
ケース2:不動産会社に直接買い取ってもらった
仲介手数料は、売主と買主との間に不動産会社が仲介してくれたことにより発生します。
不動産売却において、「不動産会社の仲介による売却」「不動産会社に直接売却(買取)」という2つの方法がありますが、後者の“買取”で不動産会社が直接買主になれば仲介手数料はかかりません。
ま と め
不動産会社を通して“不動産売却・不動産購入”をするときは、さまざまな業務が必要となり、それを行う不動産会社への対価が「仲介手数料」です。
ただ、仲介手数料について何も分からないままでは、「何の意味がある手数料なの?」「本当に妥当な金額なの?」と不安なままの取引となるでしょう。
今回お伝えしたような仲介手数料の上限や計算式など、不動産売買では事前に基礎ポイントをおさえておくと安心です。