別荘の共同所有とは|メリット・デメリットやトラブル回避のためのポイントをご紹介
豊富な自然のなか、日常の忙しさを忘れさせてくれる魅力を持つ別荘。日々の暮らしを豊かにしてくれる存在ですが、立地や間取りなどにとことんこだわると購入価格も高くなりやすいですよね。金銭面や維持管理などをネックに感じて諦める方もいるかもしれません。
そんな方の選択肢として、購入費用や維持管理面で他の人達とシェアできる“共同所有”が注目されています。
今回は別荘を“共同で購入する”ことについて、メリット・デメリットとともに、賢い買い方についてもお話していきます。
◎ 別荘の共同所有とは…?
別荘の共同所有とは、ひとつの別荘を2人以上の複数人で購入し、共同で所有していくことです。家族や友人同士、あるいは職場の同僚など、何人かで費用負担や手間を分け合いながら使用・管理をしていきます。
2~3人といった少人数のケースもあれば、それ以上のこともあるでしょう。
近年、別荘を所有するスタイルとして注目されている方法で、特に魅力として挙げられるのが費用負担をシェアできる点です。
◎ 別荘の共同所有のメリット・デメリットは?
次に、共同所有のメリット・デメリットをひとつずつ見ていきましょう。
▼ メリット
① 憧れの別荘も低予算で買える
別荘やセカンドハウスは近年身近になってきましたが、やはり“憧れ”や“非日常”といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。ふだんの家とは別に不動産を所有するため、予算的に難しいことは多いかもしれません。
共同所有なら1人あたりのコストをおさえられ、低予算で買えるのがメリットです。
個人では難しいかもしれなくても、何人かで“シェア”できれば、気軽に別荘を所有することができます。
共同所有する人数にもよりますが、2人より3人、3人より4人…とオーナーの人数が増えれば、「人気立地・大きな別荘」も夢ではありません。
② 維持管理のコスト・手間も分け合える
別荘は“買って終わり”ではなく、今後も維持し続ける必要があります。水道、電気といった毎月かかる費用、固定資産税などの税金、さらに建物の修繕費用などもかかります。
維持管理の費用はもちろん、管理のために時間を作って足を運ぶ手間を面倒に感じる方もいるかもしれません。だからといって管理会社に任せると費用負担が大きいですよね。
複数の人と別荘を所有すればメンテナンス計画について皆で話し合えるうえ、維持管理費の1人あたりのコスト負担をおさえられます。
管理会社に任せる選択肢でも、皆で分け合えるのでそれほど負担を大きくせずに維持管理ができるでしょう。
③ 仲間同士でさまざまな交流ができる
それぞれのオーナーが自身の家族・友人と楽しむことはもちろん、オーナー同士が交流を深める場にすることも可能です。別荘を共に持つことで人との繫がりが増えるのもメリットでしょう。
自分だけでなく、家族も交えることで、以前よりも絆が深まることも多いです。
また、イベントを主催して参列者を募れば、収益を生むこともできるかもしれません。
④ 維持しやすくなる
別荘にかぎらず、建物は使わない期間が長引くほど「換気不足・お手入れ不足」となり傷みが進みやすくなります。共同所有によりオーナーが増えれば“別荘が利用される頻度”が高まり劣化をおさえられるのもメリットです。
また、人が出入りする頻度が高まり、建物や設備に不具合があっても早く気づけます。修繕・交換のタイミングも見逃さずに済むことも多いです。
⑤ 別荘の価値を高められる
一人では手が届かない高額な別荘も、複数人でシェアすることで所有しやすくなります。人気立地に別荘を買うことも可能です。
注目度の高いエリアほど今後も需要が期待でき、資産価値としても極端な下落は起こりづらく、“資産”として今後も価値を高められるでしょう。
豊富な自然という魅力を持つ、ここ館山エリアでも、週末別荘や移住などで物件をお探しの方が年々増えてきました。
▼ デメリット
① 自分だけのタイミングで利用しづらい
個人で別荘を持った場合は、自分の好きなタイミングでの利用が可能です。「今週末休みになったから行こう!」といった使い方もできます。
しかし、複数の人で所有している場合、スケジュールを相談し合いながら組んでいかなければなりません。
自分が利用したいと思った日に他の所有者の予定が入っている場合は、残念ながら利用が難しいでしょう。
また長期滞在したいときも、ほかのオーナーの予定に合わせて早めに切り上げなければならないことも…。「何人で所有するか」や「誰と所有するか」でも使い方は異なりますが、自分の自由なタイミングで使えないのはデメリットと感じやすいかもしれません。
② 利用に関して方向性が異なるリスク
別荘の利用方法やメンテナンスのことで、オーナー同士で揉める可能性もあります。
たとえば、「1人でゆっくり過ごす・月に1回訪れる」という使い方なら、光熱費もあまりかからずに使った後もそれほど汚れることはないでしょう。
一方、「友達をたくさん呼んで過ごす・月に何回か訪れる」といった所有者がいる場合、水道光熱費も多めとなりキッチンや水回りも汚れるかもしれません。
いずれ、建物や設備関連のリフォームが必要になったとき、「自分は利用頻度が低いのに…」と費用負担に不公平感を抱くことや、意見の食い違いも生じることがあるでしょう。
共有するうえで、自分達なりの使い方に関する規則を設けておくことも大事です。
③ 売却時に意見が割れる可能性…
別荘に限ったことではありませんが、「不動産の共有」は難しい問題が起こりやすい傾向です。
特に知っておきたいのが「売却は全員の同意が必要」というデメリットです。
「利用頻度も減ったし売却した方がいいだろう」と思っても、ほかの所有者の同意がなければ売れません。
共同所有の場合、購入時の出資金に応じ、所有権は「持分○分の○」という共有名義になります。
たとえば、「3人で共有しているが自分の割合が7割もある」といった状態だとしましょう。
その場合、購入時の初期費用も維持管理費用も、ほかの2人よりも多めに出しているかもしれません。その状態で売却したくなっても、他の2人の同意が必要です。
共同所有の別荘は、持分の割合に関わらず、皆の同意がなければ売却することができないのもデメリットと言えるでしょう。そのため、共同所有するなら、将来的な売却の時期やその際の取り決めなどを細かく話し合っておきましょう。
「言った言わない」を防ぐ意味でも、書面にて残すことも大事です。
◎ 別荘の共同所有でトラブルを回避する賢い方法
別荘が低コストで買える点は共同所有の大きなメリットです。
ただ、複数で所有する場合は、お金のこと、維持管理のこと、将来のことなど“皆で決める”ことが多数。曖昧なままの購入はトラブルが起こりやすくなります。
せっかく別荘を所有するのに、頭を悩ます問題が発生するのは残念なことですよね。トラブル回避のためのポイントをご紹介します。
ポイント①:共有する場合は信頼できる相手と
別荘を共同所有する場合、家族や親戚、友人、同僚などさまざまな選択肢がありますが、心から信頼できる相手を選びましょう。
不動産購入時、お金のことを中心とし、今後の使い方など事細かな点を話し合う必要があります。そもそもよく知らない相手では話し合いもまとまりづらいでしょう。そのうえ、価値観が合わずに話し合いが決裂することが多ければ、今後のことが思いやられます。
たとえ、共同で所有しても、別荘は自分達の大切な資産です。お互いに信頼し尊重し合える関係性の相手との共同所有をおすすめします。
長期的な視点での話し合いも大切です。将来的なさまざまなケースを想定した取り決めをしておきましょう。
話し合いの機会を何度も重ねられる相手と共同購入をすることで、トラブルを回避することにつながります。
ポイント②:相続が発生した際のリスクを理解しておく
別荘の共同所有は、相続関連のトラブルが起こりやすくなります。
万が一、誰か一人が亡くなると“その人の持分”が相続されます。誰が相続するかは状況次第で異なり、亡くなった人の配偶者や子供、親かもしれません。もし、未婚で子供がいなければ、兄弟姉妹、甥・姪という可能性もあります。
相続されると、所有者同士の関係性もこれまでとは異なるでしょう。
しかも相続人の人数は1人とは限らず、亡くなった人の相続人が3人もいれば、さらに共同所有の人数が増えることになり複雑化します。はじめは気の置けない人同士の共同所有だったはずが、相続が発生したことで見知らぬ相手も交わる可能性もあるのです。
ポイント③:自由な使い方をしたいときは個人での所有がおすすめ
自分のタイミングで別荘を使いたい気持ちが強いときは、別荘の共同所有は向いていません。
共同所有の場合、所有している皆で利用する日程を調整し合う必要があります。自分が利用したいタイミングで他の所有者の予定が埋まっていれば、残念ながら別荘には行けません。
自分や家族だけで自由に使いたいときは、個人での別荘所有がおすすめです。
◎ まとめ
別荘の共同所有は、低予算で憧れの別荘を買えることが魅力です。所有者が複数いて使用頻度が高まるため、「使わずに劣化が進む」といった別荘にありがちなリスクも回避できます。
掃除などの維持管理の手間や、修繕コストを皆で負担を分け合うことが可能な“共同所有”。
個人の所有では予算的に難しい方は、別荘を買う際の新たな選択肢として別荘の共同所有を視野に入れてみてはいかがでしょうか。親戚や友人など信頼できる人との共同所有によって、人との交流が楽しみに変わるというメリットもあります。
ただ、「安くおさえたい」という点だけを重視した結果、利用のしづらさや維持管理の話し合いが上手くいかずトラブルを抱えてしまうケースもあります。
「自分の好きなタイミングで別荘を利用したい」といった方は個人での所有がおすすめです。
別荘所有にはメリットもあれば、デメリットもあります。予算を明確にしたうえで、今後の使い方や価値観なども考慮に入れ慎重に考えていきましょう。