不動産売買で手付金は必要?金額の相場や種類などのポイントをわかりやすく解説します!
不動産売買に関する“手付金”というワード自体は知っていても、「誰が何のために払うの?」「相場や支払うタイミングは?」など疑問点を持つ方も多いのではないでしょうか。
手付金は簡単にいうと「買主から売主に事前に支払う金銭」ですが、これだけでは詳しいことが分からずに不動産売買契約を進めるのは不安ですよね。
今回は、手付金の役割や相場、支払うタイミングなど、手付金の背景にある気をつけるべきポイントをお伝えしていきます。
■ 不動産売買での手付金の役割とは
手付金は、不動産売買が行われる際、買主側から売主側へ支払う金銭です。「この物件を本当に買いますよ」という意思を証拠として示す役割があります。
また、何らかの理由で解約時や契約が不履行となった際の解約金、違約金の意味も持つ金銭です。
不動産売買は取引において多額のお金と契約に関係する労力をともなうため、売買契約後に「やっぱり契約をなかったことに…」と申し出られることは、売主にとっても買主にとっても大変困ることですよね。手付金というペナルティの金銭を設けることで、簡単には契約を解除できないものにしています。
つまり手付金は、売買契約をするにあたって「本当に契約を結んだことを示すもの」「簡単には契約を解除しない」といった、お互いに保証し合うような意味合いの金銭なのです。
■ 手付金の相場と支払いタイミング
次に手付金の相場や支払うタイミング、支払う方法などを詳しく紹介します。
どのくらいが手付金の相場?
手付金の金額は法によって定められておらず、物件価格をベースに「売主」と「買主」との話し合いによって決められるケースがほとんどです。物件価格の5~10%前後くらいを目安と考えているといいでしょう。
また、注意したいのは手付金の金額の上限についてです。
売主が不動産会社の場合にのみ、手付金の金額は「物件価格の2割を超えて受領できない」と上限が定められています。
一般的には5~10%前後、もしくは20%までの範囲内決められる手付金ですが、売主が不動産会社なら「手付金は2割を超えない」と覚えておくといいでしょう。
手付金が高く感じる…値下げしてもらえる?
物件価格にもよりますが、手付金の金額が高くて負担に感じるケースも多いのではないでしょうか。2000~3000万円の物件なら200~300万円ほどが手付金と考えると、高額ですよね。
前述したように、手付金は法律で明言されていないため、相場よりも安くなることもあるでしょう。
ただ、基本的には、いったん設定された手付金の金額から「値下げしてもらいたい」というケースは、売主へ交渉しなければなりません。売主にとって、極端に安い手付金の額を提示されることは契約を進めるうえで不安材料となるでしょう。
しかも、解約金や違約金のベースにもなることから、安過ぎる手付金は本来の役割からかけ離れたものとなってしまうリスクもあります。
お互いに「万が一の際に保証となる金銭」だと考えると、値下げを申し出ることは悪いことではありませんが、極端な金額にならないように売主と交渉しながら進めることが大事です。解約や違約などの面も考えつつ、不動産会社に相談してみましょう。
手付金は物件価格の一部となる?
最終的には物件価格の一部にできる手付金ですが、実は厳密に言うと違った意味があります。
本来、手付金には保証金のような意味があり、契約時に“預ける”といった方が分かりやすいかもしれません。
イメージとしては、
① 売買契約時に手付金を預ける
② 物件引き渡しの完了とともに、預かっていた手付金を買主に返される
という流れです。
ただ、この際に手付金を返したうえで、物件価格の全額を改めて払うことが手間にもなるため、売買代金の一部に充当するケースが多い傾向にあります。
つまり、最終的に引き渡しの際に支払うのは手付金を除いた金額となります。
基本的には手付金は「解約や違約に際しての法的な意味合いを持つ金銭」という点を理解しておくことが大事です。
手付金はいつ払えばいいの?
手付金の支払う時期は法によって定められていません。ただ、「不動産取引の契約が成立した証」として払う意味合いがあるため、売買契約の当日までに支払うケースが多いです。
売買契約の前なので住宅ローンの活用も難しく、多額の手付金を用意できずに慌てるケースもあるかもしれません。
支払うタイミングを不動産会社に事前に確認し、売買契約間近で資金の捻出に戸惑わないように金額等をイメージしておくことが大事です。
どうやって支払うの?
手付金の支払い方法についても、法律で決まった流れはありません。
主に、
・ 売買契約当日に現金で持参して払う
・ 売買契約日よりも前、もしくは当日に銀行振り込み
という方法があります。
ただ、後者の「銀行振り込み」の場合、売買契約を夜間や土日祝日に行うと金融機関が稼働していない時間帯・休みの日と重なって入金を確認しづらいという問題もあります。
また、事前に振込で手付金を支払うと、契約当日に何らかの事情で契約が不成立となった際、振り込んでしまった手付金が返ってこないという心配もあるでしょう。
ケースバイケースですが、売買契約当日に現金を渡すというケースも多いです。取引する不動産の金額や状況によってもベストな方法は変わるため、不安なときは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
手付金を“ローンで借りる”のはNG?
手付金の相場は物件価格の10%くらいが目安で結構高い金額のため、「貯金では用意できない」という方もいるでしょう。
だからといってフリーローンなどでローンを組むのは要注意です。
物件を住宅ローンで買う場合、「手付金のために金融機関から借りている」ことが住宅ローンの審査に落ちる一因になる可能性も考えられるからです。
■ 不動産取引における手付金の種類と特徴
手付金にはさまざまな役割があります。ひと言で「手付金」と言いますが、その種類と特徴について見ていきましょう。
【証約手付】売買を契約することの“証”の意味を持つ
証約手付とは、売買契約をした事実に対する“証”の意味合いがあります。書面で売買契約を交わすことに加え、手付金の意味を持つ金銭のやり取りをすることで、売買取引がより具体的な意味を持つことになります。
売買契約時に買主が手付金を払い、お互いに「売買契約が成立した」という意思を再確認するためのもとです。
【解約手付】一方の都合による解約の際に支払われる
売買契約が成立した後、何らかの都合で「白紙に戻したい…」というケースもあるかもしれませんが、普通は一方的に「契約を解約したい」とは申し出できません。
ただ、解約手付の意味を持つ手付金により、契約を解除することが可能です。
買主が契約を解除したいときは、いったん支払っている手付金放棄を放棄する形により契約を白紙にできます。
一方、売主側が契約を解除したい場合は、倍額となります。買主から受け取っていた手付金を返還、さらに同額を支払わなければならないため、「手付金倍返し(2倍返し)」です。
【違約手付】債務不履行時も違約金となる
どちらかに契約違反があり契約を白紙に戻す場合の違約金の意味もあります。
たとえば、
・売主が期日を過ぎたのに物件を引き渡さない
・契約書には記載されていない重大な欠陥が物件にあった
・買主が引き渡しを過ぎても購入代金を支払ってくれない
など、契約書面に交わされていたはずの約束を破ったことが原因で契約解除となるケースに違約金が発生します。
買主側に法に反する事項が見つかれば、買主から売主に預けていた手付金を放棄する、つまり「返還を求めない」ことになります。
一方、売主側に違約があった場合は、手付金の金額を2倍にして買主に返還しなければなりません。
■ 売買契約が解約された際の手付金の扱い
売主、買主のどちらかから契約を解約したいと申し出る場合、前述したように「手付金の放棄」や「倍返し」などで対応されます。
ところが、双方のどちらからでもなく、買主側の住宅ローンが通らずに契約が白紙になる場合があります。
不動産購入で住宅ローンを利用するときは、住宅ローンを使って購入できる目途がたったところでばいばい進められることが一般的です。
ただ、なかには「事前審査が通過しているのにも関わらず、本審査で落ちる」というケースもあります。
この場合、買主の自己都合ではなく、「住宅ローンが通らなかったことによるやむを得ない事情」で契約を破棄することになるでしょう。その際に手付金が負担とならないように、住宅ローンが通らないことが理由なら契約を解除できるという内容の「住宅ローン特約(融資特約)」を契約内容に盛り込んでいることが一般的です。
手付金の金額やそのほかの経費など、支払う金額については契約前にしっかりと確認しておきましょう。
■ まとめ
今回は、不動産売買における手付金について詳しい内容をお話しました。不動産売買が初めてのとき、手付金という言葉は知っていても詳細が分からず不安な方も多いのではないでしょうか。
不動産売買は大きな取引額となるため、保証金のような役割を持つ手付金の存在は契約をスムーズに進めるためにも大切です。
また、簡単に契約をキャンセルできないような意味合いも込められています。物件価格にもよりますが手付金の金額は大きいため、事前に「いくら払うか・いつ払うか」という点は十分に把握しておくようにしましょう。
ご不安な点はお気軽にご相談ください。