Home > 南房総大好き人 > 鴨川市在住 亀谷晶子様 二拠点生活

土と草に導かれて、鴨川との二拠点生活

【マコモ畑の亀谷晶子さん】

<ご紹介するのはこんな方>

亀谷晶子さん(50代)
鴨川市在住
家族構成 夫婦2人
鴨川市・千葉市若葉区 二拠点生活

鴨川市曽呂地区。里山の風景が広がるこの場所で、真菰(マコモ)を育てている亀谷晶子さん。千葉市若葉区と鴨川との二拠点生活を送りながら、草木や土のそばで日々を重ねています。植物との出会いから始まり、少しずつ鴨川へと導かれていった晶子さんに、現在の暮らしや鴨川とのつながりについて話を聞きました。

植物とともに歩んできたこれまで

晶子さんは現在、鴨川と千葉市を拠点に、ガーデニングの仕事をしています。もともとは研究室の図書室で働くOLでした。
 
結婚後、千葉市若葉区に戸建ての家を建て、「庭のある暮らし」が始まります。植物好きの旦那様の影響もあり、晶子さんは次第にガーデニングに夢中になっていきました。
 
その一方で、20代のころから原因が特定しづらい体調不良にも悩まされていました。そこから、ハーブについて学び始めます。
 
30代半ばになってから再び、身体やメンタル面での不調が続くようになりました。整体や食べ物、メンタルヘルスについて学ぶなかで、あるとき、1冊の本をきっかけに「オーガニックガーデン(虫や雑草を嫌わずに共生していくガーデニング)」に出会います。
 
本格的にオーガニックガーデンづくりに取り組むうち、友人の旦那さんから「一緒に庭の仕事をしない?」と声をかけられ、ガーデニングが晶子さんの仕事になりました。3年ほどその仕事を続けるうちに、「より自然に近いところで暮らしたい」という心の奥の声が聞こえるようになってきたのです。

鴨川で見つけた自然なつながり

どこで暮らしたいか具体的に考えたとき、すぐに思い浮かんだのが、同じ千葉県内の、房総半島の南部です。なかでも、観光で馴染みのあった鴨川が思い浮かび、「どうしたらよいのか分からなかった」ので鴨川市役所に相談しにいったところ、当時開催されていた「移住セミナー」への参加を進められました。月に1回のセミナーに参加しているうちに、そこで知り合った方からの紹介で、鴨川市の魚見塚一戦場公園近くの別荘を借りることになりました。それなりの築年数を経た家で、空いていた期間も長かったため、週末に鴨川通いをして壁を塗ったり棚を作ったり、DIYに励んでいると、地元でのつながりも少しずつ広がっていきました。
 
ある日、地域のイベントに参加した際に、晶子さんが「マコモを育ててみたい」と言ったところ、「ここでやれば?」という答えが。やってみた結果、その土地では上手く育たなかったのですが、マコモ栽培にチャレンジするきっかけになりました。
 
晶子さんは言います。
 
「『ここでやれば?』と言われて、『え? いいの?(そんなに簡単に…)』と思いましたが、この土地では、人との距離がほどよく近くて、建前抜きの人間関係が作りやすいですよね。タケノコや野菜など、いろいろなものをいただくことも多かったのですが、『好きに使っていいよ。人にあげてもいいし、売ってもいい』と言われて、房総人の懐の深さを感じました(笑)」
 
鴨川に通うようになってほどなく、晶子さんに「地域おこし協力隊員にならない?」という声がかかりました。
 
「違う方から、別ルートで3回誘っていただいたのと、まちづくりに関心があったので、清澄エリアを担当する隊員の任務につきました。コロナ禍と重なり、活動にかなりの制限はかかりましたが『工房きよすみ&カフェ』やワークショップの運営などに携わりました」

【マコモは水田と同じ環境で栽培します】

【マコモは水田と同じ環境で栽培します】

さまざまなご縁がもたらされた魚見塚一戦場近くの別荘も、契約更新をきっかけに引っ越すことにしました。今は、近所に住んでいた移住仲間からの紹介で、海にも近く、安房鴨川駅にも近い市街地で暮らしています。住まいから車で10分少々離れたところに、畑を借りて栽培したマコモは、すくすくと育ちました。道の駅やその他の店舗で、晶子さんが作ったマコモ茶が販売されています。
 
近くに、草木染めの工房があり、そこで草木染めも習いはじめました。地元の植物を使って草木染めができるのも「田舎暮らしならでは」でしょう。
 
晶子さんの家には「アトリエsol」と書かれた手作りの小さな看板がかかっています。sol はポルトガル語で「太陽」。マコモの注連縄(しめなわ)で作った作品が並んでいます。マコモは古くから神事や伝統行事と関わりが深く、水を浄化する力があるとされているそうです。「注連縄は草を編みます。布ももともとは草から作るし、原点回帰しているようなところがおもしろいですね」とのこと。

【桜やよもぎなど、地元の植物から染めた布】

【桜やよもぎなど、地元の植物から染めた布】

【マコモ、稲穂、麻が材料】

【マコモ、稲穂、麻が材料】

この土地で育てていきたい未来

今後どのような暮らしをしたいかについて尋ねると「いずれ鴨川に家を見つけて定住したい」とはっきりした答えが返ってきました。
 
「生活のための仕事をしなくてよくなったら、庭を使って『循環させる生活』がしてみたい。土に還したり、火を焚いたり、太陽光を取り入れたり」
 
どのような家にしたいかお聞きすると「梅干しを作るのが好きなので、梅の木を植えたい。あと、庭に『ぶどう』の木があるのが憧れ。それに柿と枇杷…果樹を植えたいです」とのお答え。家の大きさや間取りや眺望ではなく、「なによりも庭」であるところが晶子さんらしくてステキです。
 
移住や二拠点生活を考えている人たちに一言お願いします。
 
「都市はコンクリートが多いですよね。鴨川に来るとホッとします。自然環境は心と体に影響するのだと感じます。移動でドライブする長狭街道の眺めも好きです。移住や二拠点生活を考えている方は、まず、住んでみるといいと思います。仕事や暮らしも見えてくると思うので」と晶子さん。

【散歩コース。前原海岸】

【散歩コース。前原海岸】

インタビューを終えて

晶子さんのマコモ畑の近くには大きな栗の木があります。「栗の花はどうやって実になっていくんでしたっけ?」「…さあ?」などと話しつつ、ずいぶん長い間、二人並んで、栗の木の下から空を見上げていました。私自身も、あらためて「南房総に来てよかった」と感じました。
いつか、果樹がたわわに実る晶子さんの庭を、また訪ねてみたいと思います。

【マコモ畑の脇にある栗の木。右の木の下には亀谷さんの養蜂箱があります】

【マコモ畑の脇にある栗の木。右の木の下には亀谷さんの養蜂箱があります】

(※本記事は、2026年5月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています)

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