「やりたい」を先延ばしにしない2人が選んだ南房総の暮らし

【成田剛史さんと大貫明紫さん、愛犬のハンナ】
<ご紹介するのはこんな方>
成田剛史さん(59歳)大貫明紫さん(55歳)
南房総市三芳地区・東京都渋谷区 二拠点生活
家族構成 2人住まい
南房総でそれぞれ二拠点生活を楽しんでいた2人は、この地で出会い、現在は一緒に暮らしながら南房総と東京を行き来しています。畑作業でかいた汗を露天風呂で流し、愛犬のハンナとともに過ごす時間。2人が感じている南房総の魅力と、二拠点生活ならではの心地よさについて、話をうかがいました。
10年探した結果、条件を満たすのは南房総だった
成田さんはキャンピングカーで日本中を旅しているうちに、同じ場所で四季の移り変わりを見たくなりました。「畑をやったりユンボを運転したりしたい」と思い、キャンプをしながら10年くらい土地を探していました。土地の条件は、温暖な気候で海と畑の両方があり、東京から近い場所。「この3つを満たしているのは、南房総しかなかった」と、成田さんは言います。
南房総の山あいの平地に土地を買うと決めてからの5年間、成田さんは南房総の物件を数多く見て回り、このエリアにある不動産会社とも交流を深めてきました。そんなとき、2011年の東日本大震災が発生し、成田さんはボランティアに参加しました。
「もっといい物件があるんじゃないかと思うと、なかなか決められなかった。震災のボランティアに行って、これ以上時間を無駄にできないと思ったから、次に紹介された物件に決めるって決めた。それがここだった」
近所に民家がなく、キャンピングカーが入れて、水道があって畑ができる場所という条件でしたが、現在の家は近所に民家があります。不動産会社の担当者から「成田さんが探している条件とは違うけれど、投資物件として買っても転売できるからどうですか」と紹介され、「次で買う」と決めていた成田さんは物件を見ずに即決。3日後には頭金を支払いました。
「担当者とは、南房総へ来るたびに交流していた。2人でいろんな話をしながら物件を見ていたから、物件は見ないで買ったけど担当者との信頼関係があった」

【長屋門の前に広がる庭】
購入した物件には母屋のほか、物置と「長屋門」がありました。長屋門は、居住空間と門が一体になった建物です。 成田さんは母屋を取り壊し、憧れのユンボを操作して畑のスペースを広げました。長屋門にキッチンやダイニングをDIYで整え、仲間との宴会を楽しんでいます。
大貫さんが南房総に惹かれた理由
2019年に南房総へ通い始めた大貫さんは、「来年からしばらく仕事を休んでインドに行こう」と考えていました。人生に大きな影響を与えたインドを再び訪れたいと思っていましたが、コロナ禍で渡航は叶いませんでした。「やりたいことは、やりたいと思ったときにやらないとだめだ」と強く感じたと言います。
母親の遺品整理をしていると、アメリカの絵本作家であり、園芸家でもあるターシャ・テューダー(Tasha Tudor)の本が出てきました。
「園芸が好きだった母にプレゼントしたその本を見ていると、自然に生かされているような、自然界に寄り添った暮らしをしていた。都会の暮らしはある意味不自然。だから半分くらい自然寄りに戻したいと思った。地球に住んでるのに、地球に住んでいないみたいに感じたから、田舎暮らしがしたいと思って」
Webでコミュニティイベントの広告を見た大貫さんは、参加するために南房総を訪れました。道路が海と山に挟まれ、山が低くて切り立っていない風景が、「大好きなニュージーランドに似ている」と感じたそうです。同じイベントに参加していた成田さんとは、コミュニティを通じてよく顔を合わせるようになりました。「時間を無駄にできない」と考える成田さんと、「やりたい」を先延ばしにしない大貫さんが行動を共にするのは、自然な流れだったのかもしれません。
愛犬と一緒の二拠点生活

【庭でくつろぐハンナ】
トイプードルのハンナとともに二拠点生活を楽しんでいる2人は、ときには自家用車で、ときには高速バスで、ほぼ毎週南房総を訪れています。
「アクアラインを渡ると、都会での生活と千葉での生活のスイッチが、橋の上で切り替わるように感じるのが好き。運転しながら今から千葉だ、今から東京に帰るんだって切り替わる感覚」と話す大貫さんに対し成田さんは、「バスの方が楽で好き」と言います。荷物が多いときは自家用車、少ないときは高速バスと使い分けられるのも南房総の魅力。高速バスは、30cm×30cm×30cm程度のケージに入れれば、愛犬と一緒に乗車できるので、ハンナも膝の上で移動しています。

【果樹がたくさん植わっている、本格的な畑】
南房総に来てまずやることは草刈り。作物や、メダカの水槽にいる水生生物の成長をチェックして回ります。庭には手づくりのドラム缶風呂があるので、ドラム缶風呂用の薪の準備も欠かせません。一番の楽しみは、庭で育てた作物の収穫です。
「新鮮な素材で料理できることや、ベーコンなどの燻製作りを思い切り楽しめるのが南房総のいいところ」と大貫さんは笑顔を見せます。

【キッチンで料理をする大貫さんと、スクリーンでライブ映像を楽しむ成田さん】
二拠点生活の魅力について成田さんは、「やっぱり元気になる。気分転換は飲み会やフェスに行くとかいろいろあるけど、物理的に田舎に来るのは本当に気分転換になる。精神的にも肉体的にも場所を変えることで得られるリフレッシュ感は、他とは違う」と話していました。
二拠点を考えている人へアドバイス
大貫さん「思っているだけでは変化は訪れない。やってみたいと思ったら始めてみて、良さを感じたら、さらに深く関わってみてもいいと思う。0か1じゃなくて、ちょこっとずつ始めてみるのでいいんじゃないかな。体力や周辺の状況もあるから、やりたいことをいつまでもできるとは限らない。『やりたかったなぁ』と思いながら過ごすのは嫌だから、常にやりたいことはやってきたんだって思える人生がいいと思う」
成田さん「時間は有限だから早く行動した方がいいし、借りるよりも買った方がいいと思う。東京と違って1軒1軒に特徴があるから、自分に合いそうな物件を買って、自分でいいものに仕上げて、買った値段と同じくらいで売れる物件を選ぶのがいい。そのためにも、信頼できる不動産会社に相談することから始める。注意すべき点もあるから、ネットで条件を入れて探すより、地域の不動産会社に紹介してもらう方がいいと思う」
(※本記事は、2026年4月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています)






