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即決・即行動!南房総と伊是名島を渡り歩いた移住者のリアル

【木工芸術品作家 船木清次さん】

<ご紹介するのはこんな方>
船木清次さん(49歳)
南房総市在住
家族構成 単身
以前の居住地 伊是名島(いぜなじま)

茨城県出身の船木さんは、千葉県船橋市でサラリーマンをしていました。たまたまWebサイトで見つけた南房総の物件が気になり、見に行くなり即決。2011年8月、水道の通っていないログハウスで、南房総の生活をスタートします。その後ライフラインのある古民家へ引っ越し、縁あって山の中にある一軒家を手に入れました。ところが、旅行で訪れた沖縄県伊是名島に一目ぼれし、家まで紹介された縁で移住することに。ゲストハウスを運営しながら島暮らしを堪能しますが、コロナ禍をきっかけに南房総に戻ることを決意します。移住の経緯や、船木さんの日常について話をうかがいました。

南房総で暮らした3つの家

サラリーマンを辞めた船木さんが南房総で初めて暮らした家は、雨水タンクを利用する小さなログハウスでした。一度だけ、鴨川市で行われたイベントに来たことはありましたが、それ以外南房総エリアに足を踏み入れたことはありません。便利に、スピーディーにという考えが加速している世の中で、生きている実感が薄れていたときにたまたま見たWebサイトで、「丸太小屋、ログハウス、水道なし」という見出しが目に飛び込んできました。「これだ!」と思った船木さんはすぐ、オーナーに連絡をとります。

その後東日本大震災が発生し、背中を押された気持ちになった船木さんは、会社を辞めて南房総のログハウスを見学し、その場で鍵を受け取りました。「このログハウスでの暮らしは、不便さを楽しむ生活だった」と、船木さんは当時を振り返ります。

【現在の家の畑】

【現在の家の畑】

「種を蒔いてから3カ月待たないと収穫ができないけど、それがめちゃくちゃ楽しかった。自然に対してリスペクトはあったけど、実際に自然と共有したのは初めてだった。あえて車を持たずにチャリで移動して、濃くて楽しい日常だった」

そんな日々を過ごして1年経った頃、近所にあった古民家に引っ越しました。理由は、夏に雨が降らず、水がなくて大変だったから。節水のため、鍋などの調理道具を使わないBBQを頻繁にして、洗い物を減らしていたそうです。ライフラインの整った古民家に移って1年くらい経ったころ、現在住んでいる山の中の一軒家を売りたいという人と出会い、即購入を決めました。

購入したのはこんな家

【庭から眺めた自宅】

【庭から眺めた自宅】

船木さん宅へ向かう道中、ひたすら細い山道を上り続け、進んでも進んでもなかなか到着せず、いったいどこまで上って行くのだろうという不安がよぎります。メインの山道から逸れて、ようやく到着するのかと思いきや、今度はどんどん下っていきました。そうして到着した船木さん宅は、開けた大地に建つほど良い大きさの家で、広い庭が広がっています。その庭で遊んでいた猫のグリちゃんが、出迎えてくれました。

【リビングダイニングキッチン】

【リビングダイニングキッチン】

昔棚田だった場所を整備して建てられたという家は、庭を見渡せるテラス付き。家にいるときは、このテラスで過ごす時間が一番多いそうです。玄関には薪ストーブが据えられ、リビングダイニングキッチンからテラスへと続く、南向きの家です。

購入当初は100坪の土地でしたが、その後買い足していき、現在は900坪になりました。小さな畑や、大きなシンボルツリーに作ったブランコと、木の上の休憩所もあります。

【シンボルツリーとブランコ】

【シンボルツリーとブランコ】

この家の魅力は、住宅が密集していないので人の目を気にせずにいつでも、何でもできること。近所の人たちとは毎月集まって、交流する人間関係が出来上がっているそうです。

再び南房総に移住した理由

初めて南房総に移住した船木さんは林業の世界に飛び込み、正社員として仕事をしていました。梅雨の時期は木こりの仕事ができなかったので、友だちが勧めていた伊是名島へ行ってみました。そして島に一目ぼれし、仲良くなったお爺さんから家を紹介してもらえたこともあって、その1カ月後に島へ移住したのです。

島ではゲストハウスを営んでいましたが、コロナの影響を受けたこともあり南房総へ戻ることを決めます。最初に南房総に移住したときも、伊是名島に移住したときも、そこに家があったことが大きな理由の一つでしたが、今回南房総に戻ろうと思ったのは、そこに人とのつながりがあったからでした。

その後、再び南房総での暮らしを始めた船木さんは、かつて林業を学んだ前の勤め先との縁がつながり、今もスポットで仕事をすることがあります。

【船木さんの作品】

【船木さんの作品】

一度離れた林業に戻った船木さんは、丸太を削ることで現れる年輪の模様に意識が向くようになりました。以前は、木を安全に倒すことが中心で、年輪には見向きもしませんでしたが、その美しさや面白さに気づいてからは、年輪を活かしたイスやテーブルを制作するようになります。現在は、林業と木工芸術品作家という新たなわらじを履き、自宅で制作に励んでいます。

今の暮らしの良いところ、悪いところ

朝5時半に起きて、まずは庭の野菜をチェック。その後コーヒーを淹れ、テラスで庭を眺めながらのコーヒータイムを過ごして、仕事へ向かうのが日課です。

【テラスで過ごす船木さん】

【テラスで過ごす船木さん】

一緒に暮らすグリちゃんは友だちが拾ってきた猫で、グリちゃんがいてくれることで癒やしになるけれど、畑で排泄したり野菜の新芽で遊んでダメにしてしまうこともあるそうです。船木さんにとって今の暮らしの良いところ、悪いところは何でしょうか。

「ここは本当に自然豊かで、生えている雑木も大好き。近所も理解あるいい人たちばかりです。悪いところは、竹がすぐ生えてきて大変なこと。もう少し景色が見えるように整備したいけど、切っても切っても生えてくる。いつでもチェーンソーを扱える環境は、いつでも作品づくりができるから有難いです」

土地を少しずつ買い足して増やしていったのは、ここでキャンプ場を開こうというアイデアがあったからです。キャンプ場を開くかどうか、今のところ分かりませんが、林業で得た技術を活かして杉の木を伐採し、土地の整備をする時間を楽しんでいるそうです。

移住を考えている人へのアドバイス

「とりあえず、どんな物件でも住んでみる。とりあえず、移住してみる。考えてないで、飛び込むことかな」

インタビューを終えて

船木さんの独創的な作品はよく目にしていましたが、自宅へ伺ったのは初めてでした。この山奥で木と対峙して、あの作品が生まれていることに大きく納得できる素晴らしい環境がありました。船木さんの行動とアドバイスを聞いても分かる通り、即決して即行動に移してきた結果が、この場所や作品に投影されているのでしょう。今後もここから生まれてくるであろう作品に、目が離せません。
※本記事は、2025年9月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています

木工芸術品製作 船木屋

https://www.instagram.com/funakiya_yonna/

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