Home > 南房総大好き人 > 南房総市在住 若松とみ子様 元保育士

素朴な平屋と広い庭。大好きな花を愛でる日々

【若松とみ子さん ウッドデッキでコーヒータイム】

<ご紹介するのはこんな方>

若松とみ子さん(70代)
南房総市三芳地区在住
元保育士
以前の居住地 東京都大田区
移住スタイル 定住

東京都大田区出身の若松さんは、2008年に南房総市の三芳地区へ移住してきました。
移住する前は都内で長年保育士として働き、移住後は自宅の広い庭でガーデニングや畑を楽しむ日々を送っています。
実際に暮らしてみて感じることや、この土地に決めた理由などお話をうかがいました。

太陽の光で目覚め、早朝から庭仕事をする幸せ

【自宅の外観】

【自宅の外観】

若松さんにお会いしてまず案内されたのは、自宅内ではなく「お気に入りの場所」のすてきなお庭。
広い庭にはいろいろな草木が植えてありました。シャクヤクやアジサイ、クレマチスなど、大切に育てた花の名前が次から次へとすらすら出てきます。
今咲いている「推し」の花を紹介する若松さんのまなざしは、とてもキラキラしていて楽しそうでした。

【広いお庭】

【広いお庭】

少し前まで咲いていた藤は東京から持ってきたものだそう。木製のガーデンアーチを3か所に建て、バラも育てています。
庭の奥の方には畑もあり、この頃、夏野菜の準備が始まっています。以前は庭の半分以上が畑でしたが、
「彩り豊かな花の方がやっぱり好きで、畑はどんどん端のほうになっていった」と話します。

【庭のシャクヤクとクレマチス】

【庭のシャクヤクとクレマチス】

朝は庭の向こうの山から太陽が昇り、室内も明るくなるため自然と目が覚めます。今の季節は早朝の5時頃から庭仕事を始めるとのこと。
「風が涼しくて気持ち良いし、朝にひと作業するのが幸せなんです」。

木のぬくもり感じる室内と開放的なウッドデッキ

【玄関】

【玄関】

玄関を入ってすぐ目の前に広がる空間は、リビングと和室です。
部屋の向こうにはウッドデッキがあり、正面の階段を下りていくと、先ほどのすてきな庭へつづいています。

保育士の頃に酷使した足腰のことを考えて、スムーズに移動できる平屋を建てました。
天井や床、家具は木製のもので統一されていて、ぬくもりを感じます。

【リビングと和室。窓の外のウッドデッキ】

【リビングと和室。窓の外のウッドデッキ】

子どもたちは結婚し、今もそれぞれ大田区内に住んでいます。子や孫たちが休日こちらへ来た時は、ウッドデッキでバーベキューをするなど、賑やかに過ごしているそうです。
孫が小さい頃は、家庭用プールを広げて水遊びを楽しんだこともありました。

窓から段差もなくウッドデッキに出られるので、朝のひと仕事を終えた若松さんは、外でのんびりとコーヒーブレイクするのが日課です。

【リビングのシーリングファン 天井まで高さがあり明るい空間】

【リビングのシーリングファン 天井まで高さがあり明るい空間】

空調のために取り付けたシーリングファンは、お孫さんが来た時に掃除してくれるとのこと。
白が基調の壁と、天井や柱の木の色が調和し、室内がとても明るく感じられました。

兄が建築の仕事をしている影響で、若松さん自身も家の間取りや造りを見るのが好きになりました。
素朴で落ち着く木の家や小屋に憧れ、家や暮らしにまつわる雑誌を昔からよく読んでいたと言います。

建築をお願いした工務店は、実はこの土地を紹介してくれた不動産会社の親戚の方。
とてもすてきな家を建てる工務店で、若松さんは5、6軒ほど、今まで建築した家を見てまわり、自分の家のイメージを膨らませていきました。

シンプルな造りで開放的な空間にするため、ドアは設置せず全て引き戸にし、トイレは車いすが入れるよう広めに造ったそうです。

手づくりの果実酒を飲みながら、軽めの夕食をいただくのが至福のひととき。
寝室の窓から近所のお寺の灯りや月明かりが差し込む中、若松さんは眠りにつきます。

田舎暮らしに憧れ、よく遊びに来ていた三芳に移住

東京生まれ東京育ちの若松さんはいわゆる団塊の世代で、とにかく人の多さを感じながら生活していました。都会のにぎやかさも嫌いではありませんでしたが、田舎暮らしにも憧れがあったと言います。
子どもの頃、山梨県出身の両親がふるさとを案内してくれた思い出があるからです。

夫は千葉県の出身で、アクアラインが開通すると房総へよくひとり旅するようになりました。お土産は三芳のクラフトビール。なぜか三芳が気に入っていたと言います。

保育士の若松さんは土曜日も仕事だったため、日帰りで家族と三芳にいくこともありました。
大田区から房総までは車で1時間半ほど。はじめは夫の方がよく通っていましたが、次第に若松さんも何回も訪れるようになったそうです。

「道の駅で花や野菜を買うのが旅の楽しみでした。価格の安さにもびっくりしましたね。自然の風景に癒されながら、他にもいろいろ巡ったけど、なぜか私も三芳が良いなと思ったんです」。

ただ、移住先の最初の候補は長野だったとのこと。大のリンゴ好きな若松さんは、
「長野に移住すれば一年中美味しいリンゴが食べられる」と考えたそうです。

田舎の土地物件が掲載された情報誌を読み、その中から2軒ほど長野の物件を見てまわりました。
移住した人の話も聞きながら「雪の中、慣れない運転は厳しいな」、「大田区から長野は結構距離があるな」と感じます。
「大好きなりんごは買えばいい」と長野への移住はあきらめ、他の候補地を探すことになったのです。

そんな頃、保育士の先輩たちと房総に遊びに行くことになりました。
先輩のひとりは千葉県の上総湊に、そしてもうひとりは館山に別荘を持っていました。

「土地物件の情報誌に良さそうな所があるから一緒に行ってみよう!」と先輩に勧められ、今住んでいるこの土地を訪れた若松さん。

「あら良い所じゃない! 景色もいいし」と先輩の一声。若松さんも気に入り、移住先が決定しました。

実際に暮らしてみて良かったことを教えてください

「とにかく、目の前に広がる自然の風景が最高ですね。都内生まれの子や孫たちも田舎を知らないので、別荘代わりによく遊びに来てくれて嬉しいです」。

早朝は毎日、近くの公園のラジオ体操に参加している若松さん。そこでご近所さんと交流したり、情報交換したりするのも楽しみのひとつです。

「野菜や果物など、おすそ分けをよくもらいます。物々交換って良いですよね」。
手づくりの果実酒は、ご近所さんからいただいたスダチやカボス、梅やプラムなどで作りました。
日中は果実酢を水で薄めて飲んでいます。

「庭仕事で汗をかくので、これからの季節に果実酢はぴったりです。疲れがとれますよ。
都内にいた時から手作りは好きでしたが、移住してからもっと楽しめるようになりました」。

そんな自然あふれる三芳ですが、スーパーや病院までは車で10~15分ほどで行ける距離です。

「三芳は南房総の真ん中だから、内房や外房などいろいろな所に15分くらいで行けます。街にもすぐ出られるし、生活しやすいですよ」。

実際に暮らしてみて、「庭仕事で長靴を履くから、土間も作れば良かったな」とか「思っていたより冬が寒くて床暖房にすれば良かったかも」など、後から感じることもありますが「なんだかんだ工夫しながら楽しく過ごせている」と言います。

【庭のエゴノキ】

【庭のエゴノキ】

インタビューを終えて

若松さんとすてきな庭を一緒に歩いていると、さわやかな風と共に花の香りがすーっと流れていきました。
庭と家の生活を日々大切に過ごす様子が伝わってきて、筆者自身も「暮らしのヒント」をたくさんいただけたような気がします。

きっと今日も、若松さんは庭の手入れに精を出していることでしょう。末永く、花を愛でる日々が続きますように。これからもどんな花が咲いていくのか楽しみですね。

(※本記事は、2025年5月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています)

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