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移住×家探し×失敗談!? 3軒購入したリアルストーリー

【リベーラ代表 樋口まなみさん】

<ご紹介するのはこんな方>

樋口まなみさん(60歳)
南房総市在住
家族構成 単身(娘2人は独立)
以前の居住地 東京都中野区

樋口まなみさんは現在、南房総市富浦地区で「スペインタイル絵付け工房リベーラ」を運営しています。東京都中野区から南房総市三芳地区へ移住し、2006年に新たな生活をスタート。その後、2019年に現在の工房がある富浦地区へと拠点を移しました。これまでに3軒の家を購入した経験を持つ樋口さんに、移住の理由や家探しの経緯、さらに購入時の失敗談について伺いました。

農業をするための拠点探し

東西北の三方を山に囲まれた三芳地区は、有機農業が盛んな純農村地域です。農業を自分でやりたいと考えていた樋口さんは、そんな三芳地区に興味を持ち、インターネットで売り物件を探していました。子どもが小学校に上がるタイミングで移住しようと考えていた樋口さんの条件は、近くで農業ができる環境があり、学校に通うのに不便でない場所で、住宅地ではなくある程度広い敷地があること。

当時は今ほどインターネット上に物件情報はありませんでしたが、出ている情報は全てチェックしてリストアップし、南房総を訪れたときに物件を巡りました。そのとき、「いいな」と思う物件がありましたが、近所で日向ぼっこをしていたお爺さんに「ここは、朝11時まで日が陰っているよ。冬はもっとだよ」と言われます。昼間の様子だけを見て候補を決めていた樋口さんは、「そういうこともあるんだ」と気づき、候補に挙げていた物件数が減りました。

子どもの入学というタイムリミットがあったので、「このまま見つからなければ、賃貸でも」と考えます。すると、建てたまま住まずに1年経っていた新古物件が出てきたので見に行き、その場で即決。小学校入学の1カ月前でした。

三芳で田舎暮らしがスタート

移住してみると、子どもと同い年くらいの子どもたちがたくさんいて、活気がありました。環境も雰囲気もよく、田んぼと畑付きの家だったのですぐに畑を始めることができました。田舎に移住したら、猫を飼いたいと思っていた樋口さんは、早速猫との暮らしをスタート。子どもたちが拾ってきて、多いときは6匹の猫に囲まれて暮らしたこともあります。

【現在も2匹の猫と暮らしている】

【現在も2匹の猫と暮らしている】

はたから見ると、新古物件の家で理想の暮らしをしているように見えますが、樋口さんは新たな物件探しを始めました。

周辺環境の変化

移住して12年経つと、周囲にある木々がどんどん成長し、それに比例して太陽光パネルの発電量は落ちていきました。樋口さんは「スペインタイル絵付け工房リベーラ」を運営していますが、スペインタイルは湿度に弱いと言います。木々の成長に伴い、湿気が溜まるようになり、室内の湿度が常に80%以上に保たれるようになりました。これでは焼き物ができないので、長い間漠然と家探しを始めていました。

樋口さん「湿度がなくて明るいところを探して、車で走りながら良さそうな場所を探したり、ネットで探したりしていました」

2018年、ネットで見つけた今の物件は、5年くらい空き家になっていたため、山のツタで覆われていて一見住めそうな家ではなく、見てすぐにやめる人もいたそうですが、樋口さんは違いました。

小高くなっている立地、高速のインターにも近く、草を刈って木を切り開いてみると、とてもいい環境でした。

【庭先で猫と遊ぶ樋口さん】

【庭先で猫と遊ぶ樋口さん】

樋口さん「古民家って決めていました。ここは築70年で、土壁が残る最後の時代の建物で、大きさがちょうどよかった」

新古物件だった三芳の家と、今回の物件との違いについて聞いてみると、「三芳の家はすぐに住めるように何不自由なく整っていたけど、ここは何もなくてすべて自分で一から整えなければいけなかった。古民家と今の家との違いもありますね」とのこと。

職場と居住が一つの暮らし

【使い勝手が良さそうな明るくコンパクトなキッチン】

【使い勝手が良さそうな明るくコンパクトなキッチン】

掃除をして、準備をして、仕事と居住が同じだからキリなく仕事をしている樋口さんですが、「全てが趣味の中の世界で、苦痛が無くて楽しい生活」と言います。夜遅くまで仕事をしても、朝8時過ぎに起きればすぐに準備ができる。この場所が職場であることが魅力なのだとか。

【作業部屋でパソコン仕事をする樋口さん】

【作業部屋でパソコン仕事をする樋口さん】

三芳の田んぼは現在も続けていて、6反もの広さを1人でやっているというから驚きです。この家でのお気に入りの時間を聞いてみました。
樋口さん「仕事をしているのが、楽しい。アトリエとして人を呼ぶところだから、片付けなくても人を呼べる環境があって、知り合いも気軽に来てくれるのがうれしいです。朝起きて窓を開けると、視界が広くて自然を感じられるのもいいなって思える」

家を買ったときの失敗談

三芳の家、今の家、そしてお母さまのために購入したマンションと、3軒の家を購入した樋口さんの失敗談をお聞きしました。

古民家を購入する条件として、「家に通じる道が狭いため、この道を通らずともアクセスできることがクリアできれば購入します」と希望を伝えたら、「別ルートで行ける確認が取れました」との返事をもらい物件購入に至りました。しかし、購入後に別ルートの土地を持つ住人から通ってはいけないと言われてしまい、結局狭い道のルートのみとなってしまいました。

また、下水があるという話でしたが実際は無く、近隣に田んぼがあるため浸透式浄化槽を設置することになり、予定外の出費。

マンション購入時に、参考のためにリフォームの見積もりを出してもらったら、「この業者でマンション側には伝えてあります」と言われ、業者を自分で選べないままリフォームが始まり、その後もトラブルがあったとのこと。

【リノベーションした現在の自宅】

【リノベーションした現在の自宅】

振り返ってみて「当時は分からないことが多くて、先方の説明をうのみにしちゃった」と言う樋口さん。一般的に、家を買うことは人生に何度もあることではないので、事前に調べ周囲の人に教えてもらうことも大切になりそうです。

これらの経験を踏まえ、樋口さんに物件購入のアドバイスを聞きました。

樋口さん「一年を通して、その場が本当にいいかどうかが大事。先に調べられることは先に調べておかないと、買ってからではどうしようもなくなります。周辺への聞き込みも大事ですね。常に何かしら出てくるので、どこまで妥協して目をつむっていけるか。いいところに目を向けないと、完璧にクリアすることは早々ないと思うので、住んでからも何かあるって覚悟しておいた方がいいと思います」

もちろん、正しい情報をきちんと届けている不動産屋が大半なので、不動産屋さんとのコミュニケーションを大切にして、信頼できる不動産屋で購入することが大切ですね。

新たな家探し!?

お気に入りの場所でリノベーションをした今のアトリエですが、アトリエに続く道がとても細く、特に大きな車に乗って来るお客さんからは不評なのだとか。そのため、樋口さんは新たな家を探していると言います。

今の場所は、歩いて駅やコンビニ、バス停にも行けてとても便利。歳を重ねて車に乗れなくなったときのことを考えると、今と同じこの条件は必須です。いったいどんな物件を探しているのでしょうか。

樋口さん「こじんまりとした小屋みたいな家を、建てたいと思っています。あとは、細い道が無いところですね。これは教訓になっています」

インタビューを終えて

以前、「3軒家を建てて初めて自分の理想の家ができる」という言葉を聞いたことがありますが、樋口さんもきっと、次の家は理想に一番近い家になるのでしょう。どこに、どんな土地を見つけて、どんな家を建てるのか。新居が完成したときは、また取材に伺えたらうれしいです。

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