「かっこつけすぎない」移住後の生活

【Rさん】
<ご紹介するのはこんな方>
Rさん(40代)
南房総市富山地区在住
家族構成 夫(40代)長男(中学生)次男(小学生)
以前の居住地 神奈川県横浜市
南房総市に移住して8年目のRさん。家事や育児に加え、ハンドメイドアクセサリー作家やセラピストとしてのお仕事など多方面にわたって忙しい彼女。けれども自分の時間も上手に確保して、気になることはなんでもチャレンジする余白を常に持っています。この余白はどのようにして生み出しているのか。お話を聞く中でわかってきたのは、自分に素直に「かっこつけすぎない」生活でした。
移住タイミング
自然豊かなところでの生活がRさんの昔からの夢でした。子育ては田舎でしたいという思いもあり、2人目のお子さんが生まれた直後から本格的な家探しがスタートしました。
ご主人の勤務先が横浜市にあり、月に何回かは出社の必要があったため、移住先はある程度絞られていたそうです。
「夫はIT系の会社に勤めていて、移住を機に辞めようとしていたの。でも会社の人に話したら、辞めることないんじゃない?って言ってもらえて、リモートワークができるようにいろいろ整えてもらったみたい。移住当初はコロナ前でリモートワークをしている人なんていなかったから、きっと大変だったと思うよ。今はリモートワークも本当にやりやすくなったよね」
ご主人は業務上日本各地への出張もあり、東京駅や羽田空港へのアクセスも大事だったとRさんは言います。また学校が近いこと、自然を感じることができるけれどあまり不便すぎず、でも大通りには面しておらず、お隣との距離も程よくある所という、盛りだくさんな条件を満たすのが今の自宅だったそうです。
「自然の中で暮らしたい、でもあまり不便すぎるのは困る、富山地区はその希望にちょうどマッチした。都内にも日帰りで行けるし、車で5分のところにスーパーもドラッグストアもある。実際に住んでみていいなと思ったのは、夏。夏の臨海学校として子どもたちが来てくれる場所だから、少し賑やかになるの。季節によって違う雰囲気を味わえるのが私は嬉しい」
リフォームは自分たちで
Rさんたちは家を探し始めた当初から、中古物件の購入、そしてリフォームをすると決めていたそうです。いきなり購入することに、不安はなかったのでしょうか。
「不安がないことはなかったけど、結局は運かなと思ってあまり考えすぎないようにしてた。でも半年くらいじっくり時間をかけて探したし、不動産屋さんに地域のことをよく聞いた。なんでも教えてくれたから、気になっていることは聞いた方がいいね。」
自宅は築50年とは思えないほど、とても綺麗にリフォームされていました。ご主人のお父さんが大工なので、リフォームに協力してもらい、一緒に作業しました。
「最初は水回りだけの予定だったんだけど、床を剥がしてみたら思ったより傷んでいたの。なので床は全部剥がして、壁も全部抜いた。リフォームに半年くらいかかったから、その間私と子どもは私の実家、夫は彼の実家で生活した。家を探し始めてから住むまでに1年くらいかかっちゃったんだよね。でも、その間に南房総市の児童館にも顔を出して、知り合いができたから結果としてはよかったのかも」
今回お邪魔したお部屋には庭を望める大きな窓があり、その先にはウッドデッキも作られていました。ここでハンモックを広げて、のんびり過ごすこともあるそうです。とても羨ましい!!!
やりたかったことを仕事に!
Rさんは現在、ハンドメイドアクセサリー作家であり、セラピストでもあります。どちらも移住前からやってみたかったことであり、移住後にそれぞれ仕事にしています。ここまでの道のりはどのようなものだったのでしょうか。
「移住してすぐは高齢者施設で看護師として働いてたの。パートで9時半から16時くらいまで、週3回くらいかな。そうするとさ、自分の時間があんまり取れないの。働く女性あるあるだと思うけど、家事と育児がある中で、どうやって自分の時間を作ろうかと考えた時に、仕事の時間を活用するしかないなと思ったの。高齢者施設での仕事も自分なりに工夫してやっていたけれど、どこかで我慢していた部分もあったから。だったらやりたいことを仕事にしちゃおう!ってなったの。
まぁ夫としては、看護師として働いてくれた方がいいんだろうけど(笑)。でも、子どもたちも含め応援してくれているよ。これが、借金とかまでして、大きいビジネスをしようとしてたらまた話は違うけど。結局は私が楽しそうに程々の範囲でやっているのがいいんだと思う」
新鮮な野菜は道の駅で買える
広い庭があるRさんの自宅。納屋もあり、道具も揃っているようなのですが、農作業はしないのでしょうか。
「移住前は、自給自足みたいなのにも憧れたんだけどね。私には無理だった(笑)。時間が足りなくて。今でも夏野菜はやるけど、それ以外は辞めちゃった。でも、近くの道の駅で、新鮮な野菜が手ごろな価格で買えるじゃない?自分で作るよりも安い場合もあると思う。それに今、どこもお米が値上がりして大変だけど、この辺りなら比較的手に入れやすいし。もちろんできる人は自給自足生活をしてもいいと思う。でも、あんまりハードルを高くしなくていいと思うんだよね。今はネットでなんでも手に入るし。私はミールキットみたいなのも使って、全部ほどよくやっているよ(笑)」
インタビューを終えて
仕事への向き合い方や、日々の生活など、あまり肩肘張りすぎないところがRさんらしくて、とても素敵だなと感じました。またハードルを高くしてしまいがちな移住ですが、「そんなことない」と体現している姿は、今移住を考えている方の参考になるのではないかと思います。
また、インタビュー中、Rさんの言った「私、夢は大体叶ってるのよ」という言葉はとても印象的でした。もちろんご本人の努力があってのことですが、移住が一つのきっかけとなっていることは確かです。「現状を変えたいならまずは引っ越せ!」なんていう自己啓発の言葉を見かけますが、これはあながち嘘ではないのかなとも思わせてくれました。かっこつけすぎない生活をしているRさんですが、サラッと「夢は叶っている」というその姿はとてもかっこよく、これからも次々に夢を叶えていくのだろうと思いました。