家で過ごす時間が好き。理想の環境を手に入れた里山暮らし
【Pat(パット)さん】
<ご紹介するのはこんな方>
Pat(パット)さん(35歳で移住)
館山市在住
家族構成 4人家族
以前の居住地 東京都江東区
移住スタイル : 二拠点生活から定住へ
パットさんは、長女が5歳、長男が2歳のとき、家族4人で館山市に移住しました。その数年後、パットさんの両親も館山に移住し、お父様の介護と子育てを同時に行い、館山の自宅でお父様の最期をみとりました。お父様との思い出が詰まった家との出会いや、現在の暮らしについてお聞きしました。
どこかの国に迷い込んだような場所
都内では、パットさんのご両親と“スープの冷めない距離”に住んでいたパットさん一家。お父様の介護がきっかけで、「旅行に行けないなら、週末みんなで過ごせる別荘を」と、家探しをスタートしました。神奈川や三浦半島、山梨など、古民家をキーワードにして探しましたが縁がなく、房総半島にも足を延ばすことに。
「母が古いもの好きだから」と、庭付きで畑ができるイメージの古民家を探していました。たまたま不動産屋で見つけたという今の家の敷地は、裏山も含めて1100坪。人里離れた場所で、敷地の入口までは急な上り坂が続きます。
【室内からウッドデッキを経て庭へと続き、キッチンからも直接庭に出られる】
「お墓と山の間に家があって、人が住むところじゃないよって言われたけど、気に入ってます。精霊とかスピリットを感じられるし、何か物語が始まりそうな“黄泉国 (よみのくに)”って感じで、性に合ってて心地いい。ディズニーランドに行かなくても、ディズニーランドみたいな世界がリアルにある」と、パットさんはこの土地の魅力について語ります。
2008年に、1年以上かけてやっと出会った森付きの家を購入し、週末館山に訪れる二拠点生活をスタート。2012年の3月、家族4人で館山へ移住し、その数年後にパットさんの両親との同居生活が始まりました。
「介護と子育てが一緒だった。父をこの家で見送って、葬儀もここでやりました。宮司さんに来てもらって、みんなで雑魚寝して、パーティーみたいだった。家族が増えても、死んでも、どうにかなるスペースがここにはあります」
【広々としたリビングルーム】
自然のリズムを感じる、館山での暮らし
都内で暮らしていたときは、子どもたちが寝入ってからフラ(ハワイのダンス)を習いに行き、終電で帰宅していたというパットさん。夜遅い時間までお店が開いているので、夜食を食べることもありました。
「どちらかというと朝が苦手で、夜が好きでした。ここでは鳥の声が騒がしいので、必然的に朝早く起こされて、目覚めが都会とは違います。気持ちいいから、起きられるようになった。21時には寝る支度をして、22時に布団に入る生活です」
朝起きたら家の外に出て、周囲の様子を観察。天気を想像し、洗濯ものが干せるかなど、知らず知らずのうちに自然と対話をしているそうです。「昼寝が最高!」と言うパットさんは、日だまりの寝床を探し、誰にも邪魔されずに堂々と昼寝をする時間をつくるのだとか。日当たりのいい外のウッドデッキにはソファーが置かれていて、犬や猫たちも一緒に昼寝を楽しみます。
【クリスマスギフト作りに、リユース素材を使う】
パットさんは、都内でアートやファッションの世界で仕事をしていました。今は布などを使用したオブジェやインスタレーション、イラストなどを制作しています。自宅の、ファンタジーに紛れ込んでしまったような環境は、彼女のモノづくりにもいい影響を与えているようです。
田舎暮らしの困りごとは?
海も山も、両方を感じて味わえる館山が魅力だと語るパットさんですが、田舎暮らしで困ったことはないか聞いてみました。
「不便をいとわない暮らしをしているので、特に感じることはありません。父を介護してみとったとき、病院も問題ありませんでした。移住当初は、アートや芸術、文化的なことがなかったけど、最近は本屋ができたり、新しいイベントスペースができたりしているので、何かが無くて寂しいとは思いません。90分で行けるから、東京も近いしね!」
【庭で摘んだミントをお茶に加えるパットさん】
どんどんやってみたらいい
移住を考えている人にアドバイスをお願いすると、「どんどんやってみたらいい」という言葉のあとに、その理由を教えてくれました。
「館山の市内だと違うかもしれませんが、里山や古民家だとそれなりに生活するのにエネルギーが必要だから、慣れるまでに3年はかかると思う。虫に慣れるのに、夏と冬の虫の違いで一年とか。足腰丈夫なうちからいると、長く楽しめる。子どものときに田舎で育った人はすぐに馴染めると思うけど、マンション暮らしの人はそうもいかないから。館山なら二拠点もできるし、どんどん挑戦して楽しんだらいいと思います」
【5匹いる愛猫のうちの一匹】
インタビューを終えて…
土地を見渡したとき、「どこの国にいるのかわからないのが気に入っている」とパットさんが言っていた通り、建物や電線などの生活を感じるものが視界になく、ただ自然を感じられる素晴らしい環境の中に家がありました。古民家ではないけれど、古材を使って建てられたちょっと変わった家の造り。パットさんが選んだかわいい生活道具が配置された家の中は、日本のような日本ではないような、不思議な空間を生み出していて、一般的な時間の流れを狂わせ、気づけばあっという間に時間が過ぎていました。絵本の主人公のようなパットさんが暮らす空間に、プライベートでまたお邪魔したいという願望がムクムクと湧いてきます。そんなパットさんの世界観を見てみたい方は、ぜひInstagramをチェックしてみてください。
Instagram : https://www.instagram.com/pathanasashiasobi/ts_mayuche/