直感を大事に、今だ!というタイミングを逃さない

【半澤順子さん 自宅兼ヨガスタジオにて】
<ご紹介するのはこんな方>
半澤順子さん(40代で移住)
南房総市在住
家族構成 3人(夫婦と息子1人)
以前の居住地 千葉市美浜区
コロナ禍という予期せぬ出来事の中で、人生の舵を大きく切った半澤順子さん。直感を頼りに2021年の秋、家族で南房総市へと移住しました。幕張本郷にあるヨガスタジオと自宅兼スタジオを行き来する生活が始まり、今年5月にはさらなる決断をします。移住前後のお話はもちろん、大切にしている想いを伺ってきました。
田舎暮らしには反対だった
幼少期から千葉市美浜区で育ち、何でも揃う便利な街で過ごしてきた半澤さん。幕張本郷でヨガスタジオを立ち上げ、充実した日々を送っていましたが、2020年、新型コロナウイルスの蔓延という予期せぬ出来事に直面します。
「まだ世の中がそこまで騒ぎ出す前の本当に早い段階です。幕張は早々にコロナ感染者が出て『やばい』となっていました。そのうちに、スタジオの生徒さんからコロナ感染の連絡があり、その後バババっと10人くらいの方から『私も感染した』と連絡が入りました。『スタジオから感染者が出た、すぐ閉めなきゃ』って、おそらくどこよりも早くスタジオを休業したと思います」
オーナーとしての責任、そして生徒さんの回復を祈る日々。幾重にも重なるストレスにより、自身の体調にも支障をきたすほど、心身ともに限界を迎えていたと振り返ります。
「最後の一人が回復したと聞いた瞬間、本当に安堵しました。その後にスタジオも無事再開できたし、本当によかった。でも、その過酷な経験を経たことで、自分自身が『自然の中に身を置きたい、癒やされたい』と感じ始めるようになったんです」
自然は好きだったものの、田舎暮らしには反対だったという順子さん。けれど、コロナ禍を経たことで「いつかは田舎暮らしをしたい」と言っていた夫の言葉を受
直感で決めた土地にはやっぱりご縁があった
最初に検討していた九十九里の古民家は、タッチの差で別の買い手が付いてしまったそう。しかし、半澤さんは「縁がなかったんだな」と淡々と言います。
「九十九里がダメになったあと、千葉県の各地を回りました。その中で、外房よりも内房の方が、テンションが上がったんです。最終的にここにしようと決めたのは、地元の子供たちが自転車に乗って元気いっぱいに、楽しそうに遊んでいる姿を見たから。素直で、純粋で、すごくいいエネルギーを感じたんです。ここなら当時小学3年生だった息子も、すんなり仲間に入れてもらえるんじゃないかって、直感的に思いました」
お隣さんが半澤さんの専門学校時代の先輩だったことが、引っ越してから判明!来るべくして来たと感じられる出来事でした。この土地にご縁があったということなのでしょう。
窓から海が見えるスタジオ
当初から、新しい家は単なる家族の住まいだけではなく「リトリート施設」にするという想いがありました。幕張本郷のスタジオへ通う生徒さんたちが日常から離れてヨガを練習したり、豊かな自然に触れたりしながら、心身を整えて帰っていくための場所です。そのための工夫やこだわりが込められたご自宅になっています。

【外観】
中でも「窓から海が見えるスタジオにしたい」というのは半澤さんの強い希望でした。

【3階にあるスタジオ 目に最初に飛び込んでくるのは南房総の海】
「南側に窓を大きく取ると、日差しが反射して眩しくなりすぎてしまい、海もあまりきれいに見えない。幸いなことに、ここは北側に海が広がっています。直射日光が当たらず、光が安定し、海の青さが一番きれいに見えるんです。そして、なによりヨガをする時に眩しくない!」

【窓からの借景 まるで絵画のよう】
リトリートで遠方から生徒さんたちが訪れた際、ゆったりと滞在してもらえるよう、2階にはゲスト用の宿泊スペースをしっかりと確保してあります。

【ゲスト用のお部屋が二部屋】

【ゲスト用のシャワースペースも】
ホームシックとアウェー感
直感とご縁から始まった南房総での暮らし。ウキウキで引っ越したものの、最初から順風満帆ではなかったと言います。
「便利な街での生活から、突然何もないような暮らしに。ホームシックで帰りたくて仕方ありませんでした(笑)。引っ越した翌日に息子の学校の役員決めがあって、体育館で周りのママさんたちがみんなで楽しそうに話しているのを見たとき、ものすごいアウェー感を覚えてしまったんです。家に帰ってきて、その日ちょうどエアコンの取り付けにきてくれた友人にぶわぁって泣きながら気持ちを吐露したこともありました(笑)」
「でも住んでいくうちに、みんな本当に良い人たちばかりだって分かったんです。子供たちも転校生の息子を優しく受け入れてくれた。そこでハッとしました。アウェーだと思って周りを見ていたのは、自分自身だったんだなって。それ以降、自分はラッキーで、ここに来ることは決まっていたんだなとさらに思うようになりました」
イルカとの遭遇、そして海の中へ
移住後、半澤さんのライフスタイルにはさらなる変化が起きます。地域の海仲間との出会いからSUP(スタンドアップパドルボード)を始め、さらにはスキンダイビング(素潜り)と海の世界に魅了されていきます。
「きっかけは、SUPをしているときに野生のイルカに出会ったこと。どうしてもイルカと同じ空間で泳ぎたくて、そこからちゃんとスキンダイビングの技術を習いに行きました。SUPもスキンダイビングも、移住前は全く頭になかったのだけど、この南房総という素晴らしいフィールドを目の前にしているからこその変化かもしれません」

【庭にかけられたウェットスーツ 取材の前にも海に入っていたそうです】
今だ!というタイミングを逃さない
2026年の5月、苦楽を乗り越え大切に守り続けてきた幕張本郷のスタジオを、信頼できる新しいオーナーへと引き継ぐという、大きな決断をします。
「こっちのヨガスタジオや海の活動と、忙しい日々を過ごさせてもらっています。最近は夫が農業に本腰を入れるようになってきて、特に枇杷。枇杷って家族で総力戦じゃないですか(笑)。全部やっていくとなると、いっぱいいっぱいに感じるようになってしまいました。
ビジネスをやっていると、どうしても大きく、広くしていこうとしがちだし、繁盛している周りを見ると羨ましくなることもある。そして余計な感情に惑わされることもある。だったら、いっそどんどんそぎ落として小さくなってみようと。そうしたらどんな生活でも今この瞬間がハッピーだと思える。それこそが一番の豊かさなんじゃないかなって」
半澤さんは、この「小さくなる」という言葉に、もう一つの意味を込めています。
「ヨガのポーズも、形そのものは目に見える粗大なものだけど、その中で意識をどんどん内側へ、微細に、微細にコントロールしていく練習をします。意識を微細にしていくと、物事の本質が見えてくる。そして結果、宇宙や自然という『大いなるもの』と深く繋がることができるんじゃないかなって思うんです」
小さくなることは、決してネガティブなことではなく、より『本質的』になること。
「ヨガって、徹底的に『今、ここにある自分』に気づく練習なんです。ヨガを深めて、自分を磨いておけば、人生で『今だ』というタイミングを逃さずに選ぶことができる。私は、根拠のない自信をもっているんですけど(笑)それはここからきているのかも。だから、最初はホームシックになったりでいろいろ大変だったりするんだけど、結果的にはすべて想定通りに良い方向へ流れていくんじゃないかなと思っています」

【農作業をちょうど終えて帰ってきたご主人と 無茶ぶりに応えてもらい、ゴーストバスターごっこをしてもらいました(笑)】
移住を考えている方へ一言
最後に、南房総への移住を検討している方へ、半澤さんからアドバイスをいただきました。
「あれこれ頭で考えすぎずに、最後は『直感』を大事にしてください。実際にその場所に足を運んでみて、『あ、なんかここの空気、心地いいな』とか、『地域の人たちが元気だな』とか、その感覚が何よりの正解だと思います。もちろん、学校への距離やスーパーの位置といった現実的な利便性も最低限は大切ですが、最後は自分の直感を信じてほしいな」
インタビューを終えて
半澤さんのかっこよさを掘り下げたいと思いながら挑んだインタビューでした。ホームシックで泣いてしまうかわいらしさ、イルカと泳ぎたいという純粋な想い、またヨガによって培われた『今』を生きる力、掘り下げるまでもなく半澤さんの言葉や行動の一つひとつに、そのかっこよさがにじんでいました。きっとこれからも直感に従い、『今』に集中した、ワクワクがあふれる南房総ライフを送ってくれることでしょう。
※本記事は、2026年6月に取材・撮影を行った際の情報をもとにしています
半澤さんの個人インスタアカウント
https://www.instagram.com/junkohanzawa/?hl=ja
半澤さんのヨガスタジオアカウント
https://www.instagram.com/yonderyoga_minamiboso/?hl=ja
半澤さんの枇杷山と海に関するアカウント
https://www.instagram.com/yonder_mountainandsea/?hl=ja








